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にほんのでんせつ
日本の伝説
柳田 国男
「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 104,931 字 · 207 页
行逢阪
同時にまた新しい箸をけずって、祭りの食事を神と共にする習慣もありました。箸は決して成長して大木となることの出来るものではありませんが、大昔ならば、また神様の力ならば、そんなことがあっても不思議でないと思ったのです。それもただの人には、とうてい望まれぬことである故に、かつて最も優れた人の来た場合、もしくは非常の大事件に伴うて、そういう出来事があったように、想像する者が多くなりました。しかし実際はそれよりもなお以前から、やはりこれは大昔の話として、語り伝えていたものであったろうと思います。
行逢阪
境は、最初神々が御定めになったように、考えていた人が多かったのであります。人はいつまでも境を争おうとしますが、神様には早く約束が出来ていて、そのしるしにはたいてい境の木、または大きな岩がありました。大和と伊勢の境にある高見山の周囲では、奈良の春日様と伊勢の大神宮様とが、御相談の上で国境をおきめなされたといっております。春日様は余り大和の領分が狭いので、いま少し、いま少しとのぞまれて果てしがない。いっそのこと出逢い裁面として、境をつけ直そうということになりました。