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しゅんせつのでわじのみっか
春雪の出羽路の三日
喜田 貞吉
「社会史研究 第九巻第六号」1923(大正12)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,521 字 · 33 页
男女相集ってかけ歌を催し、勝負を決する。その歌には一定の型があるが、文句は即席に作るのが多く、それをニガタ節という節調で歌う。文句に行きつまったもの、声の続かぬものは負となって退き、新手と入れかわる。たいてい十二時ころから始まって、夜を徹するという。かけ歌とは、相手の歌の文句なり内容なりにかけて、それに縁故ある歌を歌うの義であろう。昔の歌垣というのは、集まった人が並んで人垣を作り、互いに歌を詠み交わすための名であろうが、このかけ歌また一種の歌垣である。『摂津風土記』に見える歌垣山、『万葉集』や『常陸風土記』に見える筑波のカガイ、皆同じ種類のものであろう。自分の郷里においても、夏の夜若い男女がお寺の庭などに集まって、麦舂きの真似をしながら、相手の歌の文句にかけて即席新作の歌をうたい、勝負を争う催しがしばしば行われる。それをオスガタといっている。相手の姿を賞めたり、ひやかしたりする歌を多く初めに歌うからだという。「様のお姿これから見れば、丁度山田の猪脅し」という風のものだ。昔はこのようなことが各地に行われていたものであろう。そしてそれがこの金沢八幡社の恒例祭日にも行われているのだ。