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しゅんせつのでわじのみっか
春雪の出羽路の三日
喜田 貞吉
「社会史研究 第九巻第六号」1923(大正12)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,521 字 · 33 页
荘内の獅子踊と神楽、サイドウ
駅まで迎えに来てくださった有吉君・阿部(正己)君などと同車で、山形ホテルに送られて、ここで一夜の御厄介になる。阿部君は史蹟名勝天然紀念物調査委員として、明日の発会式のために前もって来ておられるのだ。幸い同宿で、旧臘伺い漏らした土地のお話を、ゆっくり承る機会を得たのは嬉しい。
ホテルはもと秋元家の泰安寺の址で、その庭園は今もなお当時の林泉のままだという。秋元家は譜代の大名として、たびたび転封の経験を有し、この山形では明和四年に武州川越から移ってより、弘化二年上州館林に転じて、水野越前守と入れ交るまで、わずか八十年にも足らぬほどの就封に過ぎなかったが、その間にも菩提寺として、ここに泰安寺を造営したのであった。この寺は俗に秋元家の巾着寺といわれて、転封ごとに腰巾着のごとく持って廻ったものだという。
これは阿部君から承ったところだが、以下同君談話の中から面白いものを二、三書きとめておく。
荘内の獅子踊と神楽、サイドウ
飽海郡松嶺町の南に大沼という村がある。ここに古来獅子という踊があって、農家の子弟がこれを行う。獅子の面を被って踊るので、ササラ方があり、歌うたいがあり、棒方二人、五尺ばかりの物を持つ。