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しゅんせつのでわじのみっか
春雪の出羽路の三日
喜田 貞吉
「社会史研究 第九巻第六号」1923(大正12)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,521 字 · 33 页
山形城址
令兄渡辺正三郎君編輯の『山形県経済史料』二冊を贈られたのは嬉しかった。わが社会史研究にも有益な材料が少くない。
午後調査委員の顔合せ会があって、自分も陪席し、史蹟調査の方針について意見を述べたことであった。
山形城址
午後、山形城址の案内を受けて一覧した。維新前はわずかに水野氏五万石の居城たるに過ぎなかったが、何しろもと最上氏五十七万石の城郭とて、規模すこぶる広大で、なかなか五万石や十万石の大名の持ち切れるものではない。元和八年最上氏改易後は、ほとんど定ったる城主もないと言ってよいほどで、鳥居氏以下わずか百四十五年間に十一家の領主を改め、その間時に幕府の直轄地ともなったこともある。かくて明和四年に秋元家が、六万石でここに移封したさいには、城郭の荒廃すこぶるはなはだしくなっていた様子であるが、秋元氏これを修築し、外濠内に三千石の田地を開いてこれを込高としておったとのことである。しかるに弘化二年、水野家五万石で浜松からここに転封したさいには、この城内三千石の地も高に数えられて、事実上城郭は二の丸以内に限局せられた。その中央にさらに濠を繞らして本丸が設けられていたが、今は兵営となったのでこの濠は埋められ、跡形もなくなった。