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しゅんせつのでわじのみっか

春雪の出羽路の三日

喜田 貞吉

「社会史研究 第九巻第六号」1923(大正12)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,521 字 · 33 页

青空文庫

これならばなるほどよく寒風を防いで、冬も比較的暖かく過ごせる訳だ。線路に沿うて墓地のある所があった。石碑はむろん深く雪の底に埋まっている。そこに新たに埋められた新墓が二基、雪を掘り上げた擂鉢の底のような所に、淋しく設けられているのはいっそう物哀れだ。雪国では葬式も容易でない。

新庄以北、釜淵・及位あたり、山手にかかっては雪がますます深く、山の斜面には雪崩の跡が所々に見える。駅の前は吹雪除けの葦簀の垣根が作られている。同車の客の土木請負師らしい人は言う。「私はこの奥羽線架設の当時から、鉄道工事に関係していますが、この地方の雪と来てはとても他地方の人の想像にも及ばぬところです。何しろあの有様ですもの、冬の真っ盛りなど、どんな設備をしたとてとうていあの天然の威力には敵いません。それを知りもせずに代議士だの新聞記者だのという奴らは、実地を見に来るだけの親切もなく、やれ予防工事が不完全だの、雪は毎年降るに極った物だのと、鉄道の故障のあるたびごとにうるさく文句を言うのです。もし雪の多い所全部に鉄筋か煉瓦で、ナデ(雪崩すなわちナダレの略称)除け、スノーセットをトンネル風にでも作ったなら、あるいはどんな大雪でも堪えられましょうが、それではとても費用が続かず、またその必要のない年中の大部分が不快でたまりません」