轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ばんしゅう
晩秋
山本 周五郎
「講談倶楽部」博文館、1945(昭和20)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,792 字 · 23 页
……屋敷は老臣の別墅としては質素なもので、三十坪あまりのおもやと、小さな下僕部屋と厩の三つの建物から成っていた。庭もかくべつ造ったところはなかった。もとから在った櫟林をそのまま取入れたあたりと、僅かに野川の水を引いて流れを作ってあるのとが庭造りらしい跡をみせているが、ながいこと主人も来ず捨てて置かれたので、林のまわりは雑草や灌木が繁り、流れの水は涸れて、白く干上った底石の間あいだに実をつけた夏草が逞しく根を張っていた。
都留が着いたときはちょうど屋敷の掃除が終ったところらしく、庭の横手で塵芥を焼く男たちの半裸の姿が、黄昏の光りのなかに赤あかと浮きあがってみえた。脇玄関にいって案内を乞うと五十歳あまりの老女が出て来た。そして黙ってうなずいて奥へ導いてゆき、「ここで暫くお待ちになって」と云って、どこかへ去った。畳八帖ほどのがらんとした、蒸れたようなほのかにかび臭い匂いのする部屋だった、北側に小窓があり片方は壁、片方は襖になっていた。襖にはなにか墨絵で花鳥が描いてあるらしいが、古びているうえに擦れたり煤ったりして絵柄はよくわからなかった。煤っているのは炉で火を焚いたからであろう。