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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

一太郎君が、へんな顔をして、いいしぶりました。

「ね、そんなことは度々あったんだろう。それだのに、さきおとといの晩にかぎって風をひいたのはなぜだろうね」

そういわれて、一太郎君もわけがわからなくなって来ました。

「まあ、風をひくわけもいろいろあるが、君の場合は、僕はこう考えるね。さきおとといの晩、お湯から出ると大いそぎで服を着た。少しでも早く北村君のところへ行って飛行機の相談がしたかったからだ。ね、そうだろう。だから君は、体をいつものようによくふかなかったんだ。いいかげんにふいて、すぐ服を着てしまったんだ。え、そうじゃないのかい」

なるほど、その通りです。高橋さんはまるで名探偵みたいです。一太郎君がうなずくと、高橋さんはにこにこして、いいました。

「だから君の体には、いつもよりは水分が多かった。水分が多ければ風にふかれて蒸発する分量も多いわけだね。蒸発する分が多ければ、熱もよけいにいるわけだね。そこで君はぞーと、寒気がして、風をひいてしまったというわけなんだよ。わかったかい。お湯から出たら、いくらいそいでいる時でも、体をよくふいて、皮膚の水分をできるだけ少くすること。