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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

象の鼻

象の鼻

明石一太郎君は、学校のお友だちや近所の人から、「智恵の一太郎」というあだなをつけられていました。それは、一太郎君がとても、うまい考を出して、みんなをびっくりさせたことが、いくどもあったからです。

近所のおばさんなんかは、一太郎君を「頓智がうまい」といってほめましたが、一太郎君の智恵はただの頓智ではなくて、何でもすじみちを立てて、よく考えてみるという智恵なのです。「なぜ」ということと「どうすれば」ということを、ほかの子供たちよりも、ずっとよけいに考える気質だったのです。

昔からのえらい発見や発明はみな、この「なぜ」と「どうすれば」の二つがもとになっていることは、みなさんもごぞんじでしょう。ニュートンという学者は、「ほかの物はおちるのに、なぜ、月だけはおちないのだろう」とふしぎに思い、その「なぜ」をどこまでもどこまでも考えていって、あの「引力の法則」というものを発見したのです。

また、飛行機を一ばんはじめに考え出した人は、「どうすれば、人間も鳥のように飛べるだろうか」ということを一心に考えつめたからこそ、それがもとになって、世界に今のように飛行機時代が来たのです。