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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

空中曲芸師

そればかりでなく、いつかこのことが先生のお耳にまではいってしまったのです。

ある日、先生が教室で、近頃こんな感心な出来事があったといって、みんなにこの事をくわしくお話しになりました。そして、

「こんないい事をして、かくしていた北村君もえらいが、それを智恵で見つけだした明石君もえらいものだ。一太郎君は名探偵だ」と言って、たいそうおほめになったものですから、二人はうれしいような、はずかしいような気持で、思わず真赤になってしまいました。

空中曲芸師

うららかに晴れわたった、春の日曜日の朝はやく、明石一太郎君は、田舎の伯父さんといっしょに、たんぼ道を歩いていました。

きのうの土曜日の午後から、とまりがけで、田舎の伯父さんのうちへ遊びに来ているのです。田舎といっても、そこは東京都の中で、中央線の電車で行けるところですが、農学士の伯父さんは、そこの広い土地で、いろいろなめずらしい植物をそだてていらっしゃるのです。大きなガラスのおうちのような温室もあって、その中には南洋の植物がたくさんならんでいます。一太郎君は、そういうめずらしい植物を見たり、それについて伯父さんのお話をきいたりするのがすきでたまらないのでした。