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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页
智恵の火
「君たちは、なーんだそんなことかというけれど、そのなんでもないことが、君たちにはわからなかったじゃないか。足あとのかわりに、まるい小さな穴がならんでいるのは『なぜ』ということを、よく考えてみれば、竹馬という答のほかはないはずだよ。それを考えつくのが智恵というものだ。それに気がつかなかった君たちは、謎をとくことでは、やっぱり智恵の一太郎君にはかなわないわけだね」
智恵の火
「お父さん、何かおもしろい謎の題を出して下さいよ。今日は、うんとむずかしいのをね」
「そうら、また一太郎のいつものおねだりがはじまったね、よしよし、それじゃあ今夜は、お父さんも頭をしぼって、うんとむずかしい問題を出してやるぞ」
赤々と炭火のもえた火鉢をかこんで、明石一太郎君のおうちの人たちが、晩ごはんのあとの、うちくつろいだ一ときをすごしていました。白髭を胸にたれて、いつもニコニコしていらっしゃる、一太郎君のお祖父さん、頭を坊主がりにして、口髭のりっぱなお父さん、そのとなりにはお母さんと、それからお母さんのお膝にもたれて、じっとみんなのお話をきいている、まだ幼稚園生の妹の妙子ちゃん。お父さんの正面には一太郎君が、お父さんの真黒な口髭の下から、今にどんなむずかしい謎がとび出してくるかと、目をみはって待ちかまえています。