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ちえのいちたろう

智恵の一太郎

江戸川 乱歩

象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页

青空文庫

いや、世界一の大工場だと、航空本部の小父さんがおっしゃった。

飛行機のあの銀色に光る機体は、ひじょうに軽くて、しかも鋼鉄のようにかたいジュラルミンという金属でできている。そのジュラルミンの九割五分はアルミニウムなのだ。飛行機の原料になるアルミニウムは、僕らの家にある鍋や湯わかしや弁当箱などよりも、ずっと質のよい、まじりけのないものでなくてはいけない。それをこの工場でつくっているのだ。

アルミニウムの原料は、ボーキサイトという、まっ赤な色の土のようなものだ。それが大東亜共栄圏にはいくらでもある。工場は港の中にあって、共栄圏の産地からボーキサイトをつんできた一万トン以上の大きな船が、すぐ工場のさんばしに横づけになって、荷あげをしている。そのへんの広っぱは、ボーキサイトの山だ。

ここの工場では、ボーキサイトからアルミナというまっ白な粉をつくるまでの仕事をやっている。見わたすかぎりの広い敷地に、大きな建物がたくさんならんでいる。その中には、鉄の大煙突を横たおしにしたようなキルンという炉が何本もならんでいるところもある。ボーキサイトをとかした液をためておく、畳十畳じきもあるような鉄の丸いタンクが、まるで碁盤に碁石をおいたように、かぞえきれないほどならんでいる建物もある。