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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页
そういうすばらしい大工事を、またたくまにやってのける生きものがあるんだ。いったい何だと思うね」
一太郎君は、そんなえらいものが、人間のほかにいるんだろうかと、びっくりしてしまいました。そして、しばらくの間、いろいろと考えてみましたが、どうしてもわからないのです。
「伯父さん、僕、わかりません」
正直にいって、ちょっと赤くなって、頭をかきました。
「ハハハ……、こんなやさしい謎が、智恵の一太郎にとけないなんて、今日はどうかしているね。それじゃ種あかしをしようか。なんでもないんだよ。ほら、あすこをごらん。あれがその橋なんだよ」
伯父さんは、そういって、すぐそばの小川の上を指さしました。
「え、どれが?」
一太郎君にはまだわからないのです。
「あのきれいな蜘蛛の巣が見えないのかい」
いわれてみると一メートルほどのはばの小川の、むこう岸の木の枝へと、大きな蜘蛛の巣がはってあるのです。
木の枝の上の方と、少し下の方とに、二本の丈夫な蜘蛛の糸が、小川を横切ってはりわたしてあって、そこの二本の糸の間に、あのからかさをひろげたような、蜘蛛の網が見えるのですが、それに朝露の玉が一めんについているものですから、まるで宝石をちりばめたように、きらきらと美しくかがやいているのでした。