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ちえのいちたろう
智恵の一太郎
江戸川 乱歩
象の鼻「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年1月<br>消えた足跡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年2月<br>智恵の火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年3月<br>名探偵「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年4月<br>空中曲芸師「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年5月<br>針の穴「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年6月<br>お雛様の花びん「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年7月<br>幼虫の曲芸「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年8月<br>冷たい火「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年9月<br>魔法眼鏡「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年10月<br>月とゴム風船「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年11月<br>兎とカタツムリ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1942(昭和17)年12月<br>白と黒「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年1月<br>風のふしぎ「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年4月<br>飛行機を生み出すたのもしい力「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1943(昭和18)年7月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 67,333 字 · 134 页
だから、音が鉄を伝わる早さと、空気を伝わる早さとくらべると、鉄の方が早いのですね。ね、伯父さん、そうなんでしょう」
一太郎君は問題のとけたうれしさに、思わず早口になって、力をこめて答えるのでした。
「えらい。さすがは智恵の一太郎だ。よく答えた。その通りだよ。音が空気を伝わる早さは、さっきも言った通り一秒間に三百四十メートルだが、水の中を伝わる早さは、その約五倍、鉄を伝わる早さは約十五倍というふうに、伝わる物によって、早さがたいへんちがうのだよ。
さあ、そこで一つ計算をしてみよう。今君が耳をつけていたところと、僕が石でたたいた所とのへだたりは、およそ四十メートルだから、たたいてから音がきこえるまでの時間は、空気をつたわる音の方は四十メートルを三百四十メートルで割れば、大たいその答が出るわけだね。さあ計算してごらん」
一太郎君は小石で土の上に数字を書いて計算しました。
「八分の一秒ほどです」
「その通り、空気を伝わる音の方は、僕がたたいてから、わずか一秒の八分の一ほどの時間で君の耳にとどいた。だが、鉄をつたわる音の方はこれより十五倍も早かったのだよ。およそ一秒に五千メートル走るんだ。