轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
つきのまつやま
月の松山
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1954(昭和29)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,451 字 · 41 页
「でもあれは三月になってからのことよ」と桂が云った、「あの方のようすが変り始めたのはそれよりまえからでしょう、城下へ通いだしたのは二月の初めからでしたわ」
泰二郎は頷いた。孝也の自分に対する態度の変化は、あの晩を境に際立ってきた。誤解からうまれた嫉妬だと思っていたし、その点はいまでも誤ってはいないと思うが、桂の云うことも事実であった。孝也はそのまえから変りだした、彼女に対しても変りだしたというし、彼自身にも(久しく放していた)稽古をつけ始めていた。
「わたくしどうしたらいいでしょう」と桂が云った、「父はいつどうなるかしれませんし、あの方は離れていってしまう、もうすっかり離れてしまっているんですわ、西秋さま、桂はこれからどうなるのでしょうか」
「そんなふうに考えないで下さい」
泰二郎はよろめくように云った。彼はけんめいに自分を抑えた。桂は彼を見あげて喘ぐような息をした。泰二郎は唾をのんだ。
「そんなにつきつめないで下さい」彼は吃りながら云った、「私がいちどぶっつかってみます、折をみて本当のことを慥かめてみます」
「いいえもうだめ、もうそんなことをしてもむだですわ」