轻松读懂日语经典作品
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つきのまつやま
月の松山
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1954(昭和29)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,451 字 · 41 页
――父は婚約の披露のことを気にかけているようです。と桂が孝也に云った。ひどく気にかけているようですから、内輪だけでも披露をしてはいかがでしょうか。
それは去年の十月のことであった。孝也にも信高の懸念がわかっていたし、反対する理もなかったが、すぐにそうしようとは、ふしぎに、答えられなかった。
――奉納試合が済んでからにしましょう。と孝也はそのとき云った。先生には私からそう申上げます。
桂が承知したので、彼は信高にそう云った。信高は不満のようであった。気力が弱っているためだろう、早く二人のいっしょにいる姿を(たとえかたちだけでも)自分の眼で見たいようであった。そこで桂が主張し、信高の前で二人いっしょに食事をするようになった。
「昨日から少し腹が痛みましたので」孝也は挨拶のあとで云った、「用心のために食事をぬきました、もういいのですが、稽古も今日一日休もうと思います」
信高は眼で頷いた。孝也は坪田に会えなかったので、もういちどゆくつもりであると告げ、まもなく病間を去った。
道場を覗くと、西秋泰二郎が稽古をつけていた。孝也は入っていって、暫くそれを見ていた。