轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
さくらのみのじゅくするとき
桜の実の熟する時
島崎 藤村
「文章世界」1913(大正2)年1~2月、1914(大正3)年5月~1918(大正7)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,569 字 · 222 页
何故に平和な神の教会にまで果しなき暗闘を賦与し、富める長老と貧しい執事とを争わすだろう。
捨吉は斯く思い沈んだ。
姦淫する勿れ、処女を侵す勿れ、嫂を盗む勿れ、その他一切の不徳はエホバの神の誡むるところである。バイロンの一生は到底神の嘉納するものとも思われない。英吉利の詩人が以太利へ遊んだ時、ベニスの町で年頃な娘をもった家の母親はあの美貌で放縦な人を見せまいとして窓を閉めたというではないか。それにしても、万物を悲観するようなバイロンの詩がどうしてこう自分の心を魅するだろう。あの魅力は何だろう。仮令彼の操行は牧師達の顔を渋めるほど汚れたものであるにもせよ、あの芸術が美しくないとはどうして言えよう。
こうまた考えない訳にいかなかった。
捨吉にはもう一つ足の向く窓がある。新しく構内に出来た赤煉瓦の建物は、一部は神学部の教室で、一部は学校の図書館に成っていた。まだペンキの香のする階段を上って行って二階の部屋へ出ると、そこに沢山並べた書架がある。一段高いところに書籍の掛りも居る。時には歴史科を受持つ頭の禿げた亜米利加人の教授が主任のライブラリアンとして見廻りに来る。