轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

02 第二部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页

青空文庫

お前は、いま先生が言ったことをよく考えてみるだけでいいんだ。……とにかく、自分のやったことに得意になってはいかん。尤もらしい理窟をつけて安心しているのが一番いけないんだ。それでは、心から笑うことも出来なけりゃあ、怒ることも出来ん。……いいか、本田、お前はもっと無邪気になるんだぞ。」

権田原先生は、そう言って部屋を出ようとしたが、また立ちどまって、

「だが、無邪気になるといったって、いまさら赤ん坊になるわけにもいかん。そこがむずかしいんだ。赤ん坊は、自分のことだけ考えていれば、それが無邪気だし、お前くらいの年輩になると……」

先生は、そう言いかけて思案した。それから部屋のなかを何度も行ったり来たりしていたが、

「いや、これは少しむずかしい。先生にも、どう言っていいかわからん。……とにかく君は考えんでもいいことを考え、考えなくちゃならんことを考えていないようだ。そこがはっきりすると君は無邪気になれるんだ。……が、今日はまあこれでいい。いずれまた二人で話そう。……今度の時間から教室に出るんだぞ。」

権田原先生は、考え考え部屋を出た。次郎もそのあとについたが、彼は、なぜか、この時も運平老の蘭の絵を思い出していた。