轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
02 第二部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页
三 大きな笑くぼ
二人は、それからあまり口もききあわなかった。口をききあうには、二人の気持が、少し複雑になり過ぎていた。それに、二人とも、口をききあわなければ物足りない、とも感じていなかったのである。
荷馬車に出あったり、土橋を渡ったり、そのほか、少しでも危険を感するような場所では、二人はかならず自転車をおりた。そんな時には、俊亮は、きまって次郎の顔をまじまじと見た。次郎も父の顔を見たが、いつもすぐ眼をそらして、少しはにかむようなふうだった。
二人は、正木につく前に、ちょっと寄道をして、お民の墓詣りをした。そこでも二人はあまり口をきかなかった。しかし、墓地の出口まで出て来たときに、ふと俊亮が言った。
「お前が恭一に万年筆をもらったのを、お母さんもきっと喜んだろうね。」
次郎は默って自分のカバンを見た。その中には、恭一にもらった万年筆が、もう何よりも大事にしまいこまれていたのだった。
三 大きな笑くぼ
二人が正木の家についたのは十一時を少し過ぎたころだった。正木では、俊亮が午前中に来ると予想していなかったらしく、門口をはいると、みんなが、「おや」という顔をした。
老夫婦は、しかし、二人の顔を見ると、次郎の方にはろくに言葉もかけないで、せき立てるように、俊亮だけを座敷に案内した。