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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
02 第二部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页
六 卑怯者
背も高い。俊亮との初対面の挨拶も、きびきびしていて気持がよかった。
「次郎君のことは、父からいろいろ聞いています。こないだは、あいにく学校の用件で出張していたものですから、お会い出来なくて残念でした。これから僕も出来るだけお相手をしてみたいと思っています。中学校の入学試験も、もう間もなくですが、それがすみましたら、ひとつ山登りにでもおつれしましょうかね。」
彼は俊亮に酒をすすめながら、しきりに次郎のことを話題にした。
俊亮もつい気持よく盃を重ねて、九時近くに大巻の家を辞した。彼は自転車で寒い風を切りながら、きょうの訪問が決して無駄ではなかったと思い、重荷をひとつおろしたような気がした。が、また、一方では、何ひとついい条件なしにお芳を迎えなければならない家庭の事情を思って、いよいよ気が重くなるのであった。
六 卑怯者
三月にはいると、まもなく中学校の入学試験だった。次郎たちの学校からは、昨年不合格だった源次たちの仲間を加えて、都合十五名が願書を提出した。
毎年の例で、みんなは一名の先生につきそわれて、試験のはじまる二日まえから、西福寺という町のお寺に合宿することになった。