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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
02 第二部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页
一六 葉書
そして、
(これからやりさえすればいいんだ。それで偉がりを言ったことには決してならないんだ。)
と、自分で自分を励まし、どうなり気持を落ちつけることが出来た。
二人は、それからも、しばらくは大沢の噂をした。次郎には、「親爺」という綽名が、いかにも大沢にぴったりしているように思えた。そして、そんな友達をもっている恭一を一層尊敬したくなった。同時に、彼の昨日からの気持が次第に明るくなり、これからの闘いが非常に愉快な、力強いもののように思えて来たのである。
一六 葉書
花が散り、梅雨が過ぎ、そろそろ蝉が鳴き出す季節になったが、その間、次郎の身辺には、心配されたほどの事件も起らなかった。
彼は毎日むっつりして学校に通った。
学課には彼はかなり熱心だった。また、教科書以外の本も毎日いくらかずつ読んだ。たいていは少年向きの雑誌や伝記類だったが、恭一の本箱から、美しく装幀された詩集や歌集などを、ちょいちょい引きだして読むこともあった。むろんそのいずれもが、彼にはまだ非常にむずかしかった。しかし、恭一におりおり解釈してもらったりしているうちに、詩や歌のこころというものが、いつとはなしに彼の感情にしみ入って来た。