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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

02 第二部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页

青空文庫

日曜などには、二人は、終日、人生観めいたような話をして暮すこともあった。

「物はわかる方だと思うがね。」

恭一は、多少みんなに気兼ねしながら答えたり

「もの事をよく考える方かね。」

「うむ、去年一度入学試験で失敗したんだが、それから一年ばかり、しょっちゅう、いろんなことを一人で考えていたようだ。」

「僕、いっぺんも会ったことがないようだね。君の家でも。」

「ずっと田舎の親類の家にいたもんだから……」

「そうか……。」

大沢は何か考えるふうだったが、それっきり口をつぐんだ。すると、ほかの一人が言った。

「どうだい、本田の弟だったら、これから狐なんかにいじめられないように、四年生でバックしてやろうじゃないか。」

「よかろう。」

すぐ賛成者があった。

「どうせやる以上は、堂々の陣を張って、だらしのない今度の五年生を反省させるところまで行くんだな。」

「むろんだ。個人の問題じゃつまらんよ。」

「しかし、そうなると、いよいよ四年対五年の対立になるが、それでもいいかね。」

と自重論が出て来た。

「かまうもんか、これも校風刷新のためだ。」

「しかし、下級生をバックして五年生に対抗するのは、やぶ蛇だぜ。