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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

02 第二部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页

青空文庫

「俊三か。そうだね、行きたけりゃあ、行ってもいいが……」

俊亮の答は変にしぶっていた。次郎は、しかし、それに、頓着せず、

「行こうや、俊ちゃん。母さんも行くんだから。」

「うん、行くよ。」

俊三はもう乗気だった。すると、次郎は、今度は恭一に向かって、

「恭ちゃんも行くといいなあ。どうする恭ちゃん。」

「行ってもいいよ。」

恭一はあっさり答えた。

「なあんだ、それじゃあ、みんなが行くことになるんじゃないか。」

と、俊亮は、ちょっと苦笑して、

「お鶴もいっしょだと、六人だぜ。大巻でびっくりしやしないかな。」

「大ぜいの方が、大巻のお祖父さんだって、喜ぶんです。」

次郎は、俊亮が何を考えているのか、まるで気がついていないらしく、そう言って、一人で喜んでいた。そこへ、お祖母さんとお芳が仏間から出て来たが、お祖母さんは、すぐ俊亮に言った。

「お芳さんまでが、わざわざついて行くにも及ぶまいよ。あたしは、次郎だけの方が、かえっていいと思うのだがね。」

お祖母さんは、べつに皮肉を言っているようなふうでもなかった。しかし、俊亮は、変に顔をゆがめながら、

「ええ――」

と生返事をして、しばらく眼をつぶっていたが、