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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

02 第二部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 页

青空文庫

いやぁな気持がするんだもの。」

次郎には、恭一の気持がそのままぴったりとはのみこめなかった。彼はただ、それを自分への同情の言葉として聞いただけだった。――むろん、公平ということのいかに望ましいかは、彼が彼自身の過去から、みっちり学んで来たことだった。しかし、彼の乗せられている天秤の皿は、恭一のそれとは、いつも反対の側についていたのである。餓えた者の求める正義と、飽いた者の求める正義とは、同じ正義でも、気持の上で大きな開きがあることは、次郎と恭一との場合だけには限られないであろう。

「そうかなあ。」

と、次郎は解せないといった調子だった。

「そうだとも。だから、僕、これからなるたけお祖母さんのそばにいないようにするよ。そして何かお祖母さんがくれたら、半分はきっと次郎ちゃんにもわけてやるよ。」

「ほんとう?」

「ほんとうさ。」

「じゃぁ僕も、正木のお祖父さんや、大巻のお祖父さんにもらったもの、恭ちゃんにわけてやるよ。」

「ああ、俊ちゃんにもね。」

「そうだい。俊ちゃんにもわけてやるんだい。」

次郎は妙に力んで言った。

「三人で仲よくなりゃあ、次郎ちゃんも、ここのうち嫌いではないんだろう。