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すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

「少女倶楽部」1934(昭和9)年6月〜8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,533 字 · 52 页

青空文庫

と燿子。

「爺やも時々言っていたワ――唐崎さんはこの仕事に関係がなくなった筈だ、お父様が学者としてしていた事を、あんまり儲けずくで運ぶから、お父様は我慢がならなくなって、無理なお金を出して、唐崎さんの分は返してその受取も取った筈だ――って」

「まア」

綾子はえらい事を思い出しました。

「それから爺やはまだいろいろの事を知っているような様子だったワ。時々言いたそうにしていたけれど、――ブルブルこれを言っちゃ命が危い、――そう言って冗談みたいに首を振っていたワ」

健一と燿子は、何やら、恐しい物に直面したような気がしました。

「何も彼も怪しい事ばかりよ、お兄様、――昨夜奥さんと一緒に映画へ行ったという助手の滝山さんの隠には、同じ映画館のプログラムが二冊あったのよ」

燿子までが妙な事を言います。

「そんなところを調べたのかい。――奥さんと二人分のだろう」と健一。

「だって奥さんのハンドバッグにも一冊同じものが挟んであるんですもの、二人で三冊はおかしいでしょう」

「誰か伴があったろう」

「それもきいたのよ。――すると、滝山さんは変な顔をして、確かにたった二人っきりだって言うのよ。