轻松读懂日语经典作品
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すいちゅうのきゅうでん
水中の宮殿
野村 胡堂
「少女倶楽部」1934(昭和9)年6月〜8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,533 字 · 52 页
「物置で寝るのは悪いよ。あすこは窓が小さいし、扉を開けると用心が悪いし」
健一はそんな事を言います。
「大丈夫ですよ、慣れてますから」
「いや、君が病気になると大変だ。僕は総監督といっても名前ばかりだから」
健一は無理に花井一郎を六畳の自分の寝台に寝かして、自分は物置の筵の上へ行きました。
その晩のことでした。
「少し変じゃない? 燿子さん」
夜中に、綾子は側に寝ている燿子を揺り起しました。
「どうして? 綾子さん」
「なんか唸ってるようよ」
「そうね」
二人は寝巻のまま床の上に降りると、手提電灯を持って、隣の部屋の方へ行きました。唸る声はそこから聞えるのです。
「花井さん」
兄健一の寝台に、今晩に限って花井が寝ている筈なのです。
「少し変ね、花井さんは御病気が悪いんじゃないかしら」
二人は顔を見合わせると、思い切って扉を押開けました。二筋の手提電灯の光に照らされて、
「あッ」
床の上は夥しい血汐、その上に花井一郎が倒れているのです。
騒ぎは急に大きくなりました。健一もお高さんも、人夫頭も飛んで来ました。
抱き起して見ると、花井は肩先と両手にひどい傷を受けて、虫の息になっているのです。