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すいちゅうのきゅうでん
水中の宮殿
野村 胡堂
「少女倶楽部」1934(昭和9)年6月〜8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 26,533 字 · 52 页
燿子は自分の発見した、プログラムの謎を思い出したのです。
「金庫の中の書類を自分だけのものにしたかったのに、それから、滝山が潜水夫を殺したのを、正平爺やが知っていたかも知れない」
唐崎荘之介も口を添えます。この人は金儲に夢中になり過ぎるのと、少し高慢な癖がある外には、大した悪人でないことが後に判りました。
秘書の杉村三五郎はハイカラで浅薄で、愚にもつかぬ人間で、善いことも悪いことも出来る性ではありません。
「東京へ電報を打って、助手の滝山を縛らせよう」
健一が立上がると、
「それには及ばないワ、あの釣ばかりしているロイド眼鏡は滝山に違いないと思うの、変装して来ているんだワ」
綾子は口を出しました。立花博士の令嬢が見破ったのですから、助手の滝山がどんなに変装しても追っつきません。
平泉の警察からその晩のうちに警官隊が来ました、翌日は前沢と一関の警官隊が応援して、平泉一帯を山狩すると、中尊寺の裏山に、天幕を張っている滝山が、わけもなく捕ってしまいました。
潜水夫を殺したのも、立花博士を窮地に陥れたのも、正平爺やを殺したのも、堤防をきったのも、花井を刺したのも、みんな助手の滝山でした。