轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

どろぼうとわかとの

泥棒と若殿

山本 周五郎

「講談倶楽部」大日本雄弁会講談社、1949(昭和24)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,601 字 · 41 页

青空文庫

成信はしまいまで横になっていた。そうして平馬が去ろうとしたとき、

「――みんなにそう云え、もうおれに構うな、いいか、おれのことは放っておけと」

刺客が自分のみかただったということは、なにより成信を不愉快にした。それは愚弄ではないか、そのとき成信はしんけんであった。本当に暗殺されるかもしれないと思った。枕のそばへ刀を置く習慣も、夜よく熟睡のできない癖も、みんなそれ以来身についたものである。

――刺客などが来るとすれば梶田一派のまわし者であろう。

城からみまわりに来た役人が、そう云って冷笑したことを思いだす。かれらは裏を掻かれていたわけであるが、成信の身にすれば、「裏を掻く」ことのほうがずっと恥かしかった。

「いやだ、つくづくいやな世界だ」

成信はこう呟やき、なにもかも忘れたいというように、頭をはげしく左右に振った。

「――伝九、二人でどこかへゆくか」

成信はその夜そう云った。

「悪くはねえな、おめえさえいて呉れりあ、おらあどこでどんな苦労でもするぜ」

「――なに、おれだって、なにか、するさ」

「それあさきゆきあそうさ、にんげん遊んで食ってちあ天道さまに申しわけがねえ、けれどもせくこたあねえぜ、おめえの躯が丈夫になり、そういう気持が出てからのはなしさ」