轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おんせんへでかけたすずめ
温泉へ出かけたすずめ
小川 未明
「赤い鳥」1928(昭和3)年3月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 4,988 字 · 10 页
すずめは、そこへおりると、そこだけは暖かなので雪もなかった。そして、人間が、ついこのごろまで入浴をしていたものとみえて、湯船のまわりには、いろいろの食べ物などが落ちていました。
「これは、ほんとうにいいところだ。」と、すずめは思いました。食べ物の心配もなく、湯にはいって、療治をするうちに、羽の傷もだんだんになおって、まったく健康な体となったのであります。
「もう、これなら、だれにも負けず、どんなところへでも飛んでいける。」と、すずめは、高い山を見上げて、ひとり言をしました。
いくら、いい温泉場でも、ひとりいるのではさびしくて、堪えられなかった。体がなおると里の古巣を思い出したのも無理はありません。そこには、彼らの友だちが、たくさんすんでいるはずです。
ある日、すずめは、この温泉に、別れを告げました。そして、山を越えて、広々とした野原へ出ました。彼は、電線の上に止まって、しばらく休んだのです。どこを見ても、真っ白で、田や、畑は、雪におおわれている。わけてこれから、自分の帰ろうとする北の方の空は、暗く、曇って、寒い風が吹いています。それを見ると、すずめの心はふさがるのでありました。