轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
でもそれも長くは続かなかった。その中軒並みに『出征兵士の家』や『英霊の家』が出来て、看板の価値や威力は、暴落の一途をたどったからである。
「ねえ。お母さん」
母親に並んで縁側に腰をかけながら、栄介は言った。
「もう葬式はやめようよ。合同慰霊祭で済んだことだから」
「そうだね」
ふくらんだ眼で母親はうなずいた。
「お前がいいようにおし。お前に委せるよ」
城介の戦病死通告の頃から、母親の中にある転機が来ているようであった。強くなったのか、弱くなったのか。強いというのは幸太郎に対してであり、弱いというのは栄介に対してという意味である。母親は続けて言った。
「やめるのなら、幸義兄さんには、あたしが話をつけるよ」
幸太郎が葬式を出したがっていることは、栄介も知っていた。どうして彼はそんなに葬式をやりたがるのだろうと、栄介は思う。本家の威武を示したいからなのか。それとも葬式そのものに興味があるのか。
どう話をつけたのか知らないが、とにかくそれは取止めになり、一週間後に栄介は母親といっしょに、遺骨をたずさえて汽車に乗り、菩提寺に行った。遺骨は本堂で読経を受け、戒名がつけられた。