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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

「たいへんですな、奥さんも。福次郎君だけじゃなく、息子さんを二人も亡くされて――」

眉の太い住職は茶をすすめながら、そう言った。そして栄介に、

「何か相談ごとがあれば、いつでも言って来て下さい。もっとも寺に相談なんて、あまり縁起のいいことではあるまいが」

そう言って住職は笑った。

丘の中腹にある墓は、寺男の爺さんの手で、すっかり掃除されていた。骨壺はカラトに収められ、住職は墓前で四誓偈を誦んだ。城介に関する浮世の行事は、これで一応片がついた。

三箇月ほど経って、栄介は上京した。勤め先の関係もあり、いつまでもぶらぶらしているわけには行かなかったのだ。勤めに戻って一年余り過ぎ、今度は栄介に召集令状が来た。海軍からである。しかし栄介は別に衝撃は感じなかった。前の例があるので、即日帰郷の予感があったからだ。

「何だ。即日帰郷のつもりだったのか」

私はすこしあきれて言った。

「他人のことはくよくよするくせに、君は根は楽天的なんだな」

栄介が相談したいことがあると言うので、美術館の喫茶室で私たちは落合った。その時その話が出た。

「楽天的じゃないよ。陸軍で帰されただろう。