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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

ちょっとコブ取り爺さんみたいに、だらしなく不恰好でね。そのくせまだ死なないで、生きているのだ。おれはこの爺さんを、どこか安い養老院に入れてやろうと思っている」

「なぜそんな憎々しげな言い方をするんだい?」

「そ、そんなに――」

眼をへんに光らせて、栄介は私を見た。

「憎々しげに聞えたかね?」

私は黙っていた。矢木栄介が伯父を憎んでいるとしても、私にそれほど関係があることではない。問いただせば、栄介は相変らず飴玉を口の中であっちにやったりこちらに転がしたりするような話ぶりで、結局は核心に触れないだろう。私は彼の古い友人の一人だが、今までいつもそうだった。彼は部分部分は鮮明に語るが、話の筋道を立ててしゃべることをしないのである。話下手なのか、気まぐれなのか、それとも背中を見せたがらないようなところがあるのか。

「そのコブ、見せて呉れないか」

私は率直に言った。

「何のために?」

「いや。見てどうするわけじゃないが、どんな形で、どんな具合にかくれているか、参考までにさ」

私は彼が峻拒するだろうと予想していた。しかしそうしなかった。薄笑いがしばらくして、栄介の頬に浮び上って来た。