轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

「ずいぶん背中のとこが凹んでるだろう」

彼はしゃがめないから、戸袋に体をもたせたまま、暗い声で言った。

「しかしおれの背中は凹んでないんだぜ。その分だけふくれているんだ。つまりこれは背中の逆になっている。背骨の孔だって――」

「判ってるよ、そんなこと。説明して呉れなくても」

「そうか。それならいいが――」

ほんものでなく模造品だけれど、ついに見せてしまったので、栄介もすこしは気がらくになったらしい。口調がやや軽くなった。

「出来上った時に、これがほんとにおれの背中かと、おれは哀しかったよ」

「しかしこの程度の猫背は、そこらにざらにあるんじゃないのか」

私はやさしく言った。

「自分のものだから、オーバーに感じるんだ。型を取れば、僕だってそんなものだよ。そんなものだろうと思うよ」

「そう無理してなぐさめるなよ」

栄介は苦笑まじりに言った。

「おれはおやじの背中を考えていたのだ。おれが床ずれの手当をしてやった時、これと同じ曲り方で、同じようにふくらんでいた」

栄介の父福次郎は、彼が大学に入った二年目の秋に死んだ。脳卒中で倒れたきり、ついに起き上ることをしないで、半年後に息を引き取ったのである。