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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页

青空文庫

「そんな大げさなことはやめにして、生徒の登校下校時を見張って、犯人を探し出す」

ということで話がついた。

それで困ったのは、城介である。城介が一番よく顔を見られているし、彼一人なら裏門からでも、塀を乗り越えても登校出来るが、彼そっくりの栄介という双生児がいる。あのおかみさんがそれを見逃す筈がない。思い余って城介は、父親の前に坐って首を垂れた。

「お父さん。ぼくはもう学校をやめる」

「なぜだ?」

福次郎は驚いて反問した。

「もう学問がイヤになったのか?」

「それもあるけれど、実は――」

それを栄介が知ったのは、城介から聞いたのではなく、福次郎からである。栄介は城介を責めた。

「どうしておれに相談しなかったんだい。うどんの食逃げはよくないが、それだけなら停学の十日ぐらいで済んだ筈だよ」

「それがダメなんだよ。兄貴」

城介は父親の命で、長持の置いてある薄暗い納戸に謹慎させられていた。仕事と言えば裏の菜園の草むしりとか、風呂の水汲みぐらいで、外出出来ないものだから退屈して、精力を持て余しているように見えた。

「昔からおれはそうなんだ。学校の水泳で、立入禁止区域で泳いでいると、足がつって溺れかかるのはいつもおれだし、運動場で雪合戦をやっていると、おれの雪玉はいつも先生の頭にぶっつかるしさ。