轻松读懂日语经典作品
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
「群像」講談社、1963(昭和38)年1月~5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 页
「いや。これは私事だから――」
栄介はあいまいな言い方をした。
「その探し主を、実は君の名にしてもらいたいんだよ」
「なぜ?」
「おれは新聞にあまり自分の名を出したくないんだ」
身勝手なことを言っている、と私は思ったが、念のために聞いてみた。
「この封筒の差出人って、誰だね?」
「加納と言って、城介の友達だ」
そして栄介はしばらく眼を閉じていた。どう説明しようかと、考えているらしい。やがて言った。説明ではなかった。
「どうだね。引受けて呉れるかい?」
「急ぐのか。十五日も待てないほど?」
「急ぎやしないがね。でも、なおってしまうと、おれも忙しくなるだろう」
栄介は皮肉な笑い声を立てた。
「暇なうちに、その男に会うか、手紙を出してみたいんだ。だから早いとこ、ことの続きやつながりを知りたいんだよ。君のようにね」
「君は暇過ぎるんだな」
家政婦が運んで来た紅茶をすすりながら、私は言った。
「じっとしている分には、痛くも何ともない。それなのに動けない」
彼はうなずいた。素直にうなずいた。
「外界に触れないから、考えがとかく後向きになりがちなんだ。まだ後向きになる齢じゃなかろう」