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ししまいざっこう

獅子舞雑考

中山 太郎

「民俗芸術 第三巻第一号」1930(昭和5)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,092 字 · 16 页

青空文庫

かつ中道等氏より承るところによると、現に獅子頭を埋めて霊地とする土俗が、東北地方にあるとのことゆえ、別に取り立てて言うほどの事ではないかも知れぬが、ただ私として考えて見たいと思う点は、この土俗は果して大昔から獅子頭を埋めたものか、或いは獅子ではなく鹿ではなかったかと云うことである。

由来、我国の義犬伝説には、およそ三つの形式があるが、そのうちに狩犬が千頭の獲物を猟主に捕らせると、犬が猟主に仇をするとて、九百九十九頭のときに、その狩犬を殺すという、迷信から来た義犬伝説の一形式がある。そして、各地に存している犬供養塔は、概してこの種の伝説が基調をなしているのである。鯨や猪や鮭の供養塔は、これと違い沢山捕獲して、その生命を断ったために、建てて冥福を祈るというものである。そして、この信仰は、直ちに鹿の上にも見られることであって、殊に霊魂動物であった鹿は、他の鯨や猪などよりは、供養を受くべき資格が備わっているのである。その点から推して獅子塚の起りは、鹿塚であったのが、後に獅子に附会されてしまい、遂に三河国額田郡伊田村の獅子舞塚の如く、天子御悩の時、御願により、六十六ヶ国に獅子頭を納めたという、伝説を生むようになったのであると〔註九〕、考えたいのである。