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きけいのてんにょ

畸形の天女

江戸川 乱歩

「宝石 第八巻第十一号」1953(昭和28)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,893 字 · 35 页

青空文庫

死体を残しておくのは不安だったが、ふみ子に番をさせておくとしても、もし見つかった場合には、その方がかえって危険だった。

その家の生垣のそとで、ふたりはささやき合った。

「きみ、見えるかい。スコップや鍬はあるかい」

「あすこよ。置いてあるようだわ。あたい取ってこようか」

「ウン、おれはここにしゃがんで、待ってるからね。きみの方が、からだが小さくて目立たないから、ここまで持ってきてくれ。あとはおれが持つよ。音を立てないようにね」

小柄なふみ子は、器用に生垣の破れをくぐって、庭へはいって行った。紺のセーラー服を着ているので、少しも目立たなかった。

ほどなく、カサカサとかすかな音がして、ふみ子が戻ってきた。両方の肩にスコップと鍬を一本ずつかついでいる。

幸い、その辺は人通りが少ないので、途中で怪しまれるようなこともなく、空き家に帰りついた。死体にも異常がなかった。ふみ子に手伝わせて、古畳をあげ、根太板をとりはずして、暗闇の中で墓掘りをはじめた。土は軟かくて、三十分も掘っていると、相当深い穴ができた。

死体を穴におとすと、スコップで土を埋め、地ならしをした。青年は靴ばきのまま飛びかかってきたのだから、世話はなかった。