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しほんたいへいき
私本太平記(七)
吉川 英治
吉川英治『私本太平記(七)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私本太平記、私本太平記、私本太平記。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 330,262 字 · 662 页
畜生道です。いや禽獣にすら見られないこと。なぜか人間だけにかかっている人間業です。これを、凡下が演じるならまだ知らず。――朝廷おんみずからやってどうなりましょうか」
と、一人一人の胸に訴え。
「持明院統もただしい皇統。また現朝廷の大覚寺統もひとつ皇統。いずれが帝血に非ずというものでありません。――としたら同じ帝血のお争いです。そして、ひとたび骨肉相剋のたたかいとなれば、うらみも憎しみも、他人以上、解けがたいものとか。必然、百年はこの地上に修羅地獄の血を見なければ止みますまい」
と、痛嘆した。
さらに、その弁も訥々ではあったが、倦まず、熱意をこめて、
「正成ごときが申しあげるまでもなく、ここには博識な方々のみ。つとに御存知と拝察しますが、このさい御一考として、かの異朝の詩人、魏の曹植が作ったと称される“七歩の詩”を思いあわせていただければ倖せです。それは正成の百言よりも、はるか勝るかとぞんじまする」
と、御簾へむかってするとおりに、公卿へも、平身低頭して言った。
「なに。七歩の詩?」
人々のあいだに、小さいきが流れ、そしてしばしは、その詩句と詩意とに、各※(二の字点、1-2-22)思いをひそめ合うらしい容子だった。