轻松读懂日语经典作品
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あきのかご
秋の駕籠
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,356 字 · 35 页
そして若者がたち去ると、あとからそっと往来へ出て、うしろ姿を見送った。若者は気のぬけたような歩きぶりで、弾正橋の手前を右へ、越中堀に沿って曲っていった。
お梅が店の中へ戻ると、待っていたように、また一人の若者が入って来た。無精髭の伸びた逞しい顔で、躯も逞しく肥えていた。彼は縞の単衣にひらぐけをしめ、裾の片方を端折り、肩に手拭をひっ掛けていた。
「お早う」と彼はお梅に云った、「済まないが酒をつけてくれないか」
「いらっしゃい、いま中さんが帰ったとこよ」お梅は元気そうに微笑した、「また二人で喧嘩したんでしょ、中さんたらいきなりひとをどなりつけたりして、あたしがさも悪いみたいにけんつくをくわすんだもの、あのひとすっかりいけなくなったわ、まるっきり先のようじゃなくなったわ、もう少しであたし」
「済まないがやめてくれないか」彼は穏やかに遮った。
「中次はおれの友達だからな、おれの前で友達のことを悪く云うのはよしてもらいたいんだ」
お梅はきっと唇を噛んだ。それから両手を握り緊めて、ゆっくりと板場のほうへゆきながら、歯と歯の間で呟いた。
「いつもこれなんだから、いい面の皮だわ」