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あきのかご
秋の駕籠
山本 周五郎
「講談倶楽部」大日本雄辯會講談社、1952(昭和27)年12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 17,356 字 · 35 页
五
「いらっしゃい、よかったわね」
二人はぎくりとした。そしてお梅を見て、お梅の笑い顔を見て、二人ともいっぺんにてれたような表情になり、殆んど同時に、ひょいと頭を下げた。
「やあどうも」と六助が云った。
「いろいろどうも」と中次が云った。異口同音だったので、お梅がぷっとふきだした。二人も笑いだした。
「いろいろ心配させちまって」六助が元気な声ですなおに云った、「どうも済まねえ」
中次も「済まねえ」と云い、二人でもういちど頭を下げた。かれらはお梅の笑い顔を見たとたんに、了解したのであった。どうすれば二人を仲直りさせられるか、お梅は知っていたのである。そして、二人はお梅の思う壺にはまったのであった。
「なるほど、そうばかりでもないもんだ」六助は首を振りながら呟いた、「女だといっても、あとさきなしにでたらめを云うとも定らないもんだ」
五
二人は陽気になった。鼻についた酒がまた美味くなり、飲めるようになった。半月間のお互いに溜まっていた話題を楽しみながら、二人はさらに飲み続けた。もちろん酔いに酔った、平生は節度を守り、きちんと暮すのを好んでいたが、その夜は羽目をはずしてもいいのであった。