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たいない
胎内
三好 十郎
「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页
六
……間)
佐山の声 ……(非常に低い、たえだえの声で)俺あ、子供を、生ませたい。……
花岡の声 おい、村子!
村子 ……(目はそちらへ釘づけになったまま、腰を柔かにグナリと動かしたと思うと、急に立っている力を失って、グタグタと地面にくず折れ、失神)
花岡の声 (弱い声で唸る)ヒイ! (同時にガンドウを突きとばしたらしく、光がグラグラと飛び歩いた末に、すべてがバタリと見えなくなる)
六
まっくらな中。
どこにも光はないが、中央の水たまりの水面が鈍く光っている。その水面をしわめるようにして、時々、微かに燐光が飛ぶ。……
他はなにも見えない。
なまあたたかい。
正確なかんかくを置いて、したたり落ちる水の音。――そのリズムに自然に合わせるように、低い声がつづいている。くら闇自体のつぶやきのようなその声が、やがて、誰かの唸るともささやくともつかないノド声であることがわかって来る。……次第に、それは一つの単調なメロディになっている。……
花岡の声 ウーム。(うなる)……助けてくれ。……(さらに弱っている)どこにいるんだ、佐山君?……え?
佐山の声 ……(かまわずつづけていたメロディが弱りきった低い声で歌の文句になる。