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たいない
胎内
三好 十郎
「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页
二
佐山 ……ええ、まあ……
花岡 ……なあんだ、そうか。
村子 だけど、そりゃ戦争中のこってしょう? どうしてあんた、だのに、今ごろやって来て、……どういうの?
佐山 ……やあ、べつに――(薄笑いを浮かべて、ボンヤリ二人を見かえしている)
二
懐中電燈のかわりに、火のとぼされたロウソクが三本(一本は地面に置かれたウィスキイのビンのセンの上に、一本は中央の水たまりのそばにころがっている坑木のキレハシの上に、一本は正面の壁のデコボコの中に突き出ている岩の先に立ててある)。その三本のロウソクの火にかこまれたあたりだけが、明るい。花岡がコートの上にアグラをかいて、小さいニュームのコップでウィスキイをあおりながら、なにかに突っかかるように、いきおいこんで、しゃべっている。酔っている。……村子は、コートのはじに、スーツ・ケースを枕にして横になっている。……佐山は、リュックのそばに半身を起し、両腕で膝を抱いて、死灰のように坐っている。
花岡 なあ、そうじゃないか! 村のオンゴと畑のイモは、だ、かぶり振り振り子がでける! かぶり振り振りだ! いいかね? そうじゃねえか? そうだよ! 誰にしたって、戦争なんてもん、したくってしやあしねえ。