轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

たいない

胎内

三好 十郎

「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页

青空文庫

佐山 だって、そこで聞えるもんなら、ここでも聞えるわけだ。

花岡 (佐山の言葉など耳に入れない)ハハ、助かった! 助かった助かった! ヒヒ! ウワーア! (叫んで、飛び起きて、いきなり狂ったように両手を打ち振って、そのへんを飛んだり跳ねたり、キリキリまいをする。それがしかし、身体が衰えきっているために、ヒョロヒョロ、フラフラして、ちょうど死にかけた蚊トンボが夏の灯のまわりで飛びまわっているように見える。……村子はユックリ起きなおって、以前とは全くちがった、ユッタリと自信のある態度で、狂いまわる花岡を見て、ニンマリと微笑する。佐山だけが、まだ地面に耳を押しあてている。彼には、どんなに耳をすましても、音は聞えないらしい)

花岡 よしッ! よしッ! 頼むよ! 早くしてくれ! 早くしてくれよッ! (ヨロヨロと飛び跳ねながら、入口に通ずる暗い方へ消える)

村子 ホホ。……(落ちついて自足してキゲンの良い子供のような笑い)

佐山 ……(やっと地面から顔をあげて)いや……自分の心臓の音でも聞いたんじゃないかなあ?

村子 ホホ。……(笑いながら、佐山にうなずいて見せる。それは、是認のうなずきではなくて、あわれみと許容のうなずき。