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たいない
胎内
三好 十郎
「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页
上着はなく、スカートはズタズタに破れちぎれ、シュミーズも胸のところだけを残してちぎれてなくなってしまって、ほとんど裸体に近い姿。肩や背に泥によごれている上に、一二ヵ所の引っかきキズから血がにじみ、なま白い腹部が苦しそうに波打っている。
花岡の脚と村子の間にガックリと腰をおろした佐山も、上半身は裸体。下半身のズボンもボロボロに破れて、青い太ももまで見える。ゲッソリと無感覚な顔で、花岡の脚の動くのを見ている。――しかし、あとで花岡が穴から出てくればわかるように、三人の中では、この男がもっとも消耗していない。もっとも、それは、最初からこの男が極度にしょうすいしていたために、今さら目立たないためでもある。――円錐形の光に照らし出されたこの場のありさまは、近々と、異様に平静で炭坑内の最終のキリハで、つかれ切った坑夫の先山と後山とが働いているようにも見える。
穴の奥から花岡のうなり声と、岩をなにかで引っかいているガスガスガスというひびき。
間…………
村子 ……(弱く、うなるような、泣くような声を出す)ウン。……悪い。……あたしが、悪い。……フ。……お母さん。
佐山 ……(ユックリと首をねじまげて、村子に移す)