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たいない
胎内
三好 十郎
「中央公論」1949(昭和24)年4、5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 68,766 字 · 136 页
闇の中から、村子の姿を見つめているらしい。しまいに、低く、へえへえ、ときこえる声を出す。それは笑い声として出されたものだが、途中から一種の泣声に変っている)……へえ。ひい。……(それからまたしばらく黙っていてから、今度はおそろしく弱々しく低い、ひとりごとのような声で、なにかブツブツいうが、よく聞えない。それがやっと聞えるようになる。それまでの言葉が虚勢を張ったフテブテしいものであっただけ、この絶望の調子に完全に救いはない)……けどよ、これ、……もう、ダメかも知れんなあ、こいつ。すると――ギイ! (かすれた夜鳥の鳴声のような声を出す。同時に、ガンドウを持ち上げたと見えて、スポットが動いて、一瞬に村子の姿を消し、光の輪がふるえながら、壁を這って来て、手元の地面を照らす。その光の中に骨だらけになった花岡の片手と、膝から下と、膝の前に置かれた黒いピストル。膝と片手はブルブルふるえている。やがて、花岡の顔が照らし出される。衰え果てて横になった半裸体の上で、その顔は、恐怖にたたきのめされて、ほとんど別人のようにゆがみ、両眼はスガメになってしまっている)……ウ、ワ、ワ……(ガチガチと歯を鳴らす)……ど、どうして、君、だまっているんだ? おい! (返辞なし)な、なんとかいってくれ。