轻松读懂日语经典作品
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なおこ
菜穂子
堀 辰雄
楡の家 第一部「物語の女」山本書店、1934(昭和9)年11月<br> 楡の家 第二部「文学界」1941(昭和16)年9月号<br> 菜穂子「中央公論」1941(昭和16)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,758 字 · 173 页
第二部
いいえ、私はお前の傍から決して離れようとはしませぬ。それだのにお前の方でこの頃私を避けようとしてばかりいる。それが私にまるで自分のことを罪深い女かなんぞのように怖れさせ出しているだけなのだ。ああ、私たちはどうしてもっと他の人達のように虚心に生きられないのかしら? ……
そう心の中でお前に訴えかけながら、私はいかにも何気ないように家の中にはいって行き、無言のままでお前の背後を通り抜けようとすると、お前はいきなり私の方を向いて、殆んどなじるような語気で、
「何処へ行っていらしったの?」と私に訊いた。私はお前が私のことでどんなに苦い気もちにさせられているかを切ないほどはっきり感じた。
第二部
一九二八年九月二十三日、O村にて
この日記に再び自分が戻って来ることがあろうなどとは私はこの二三年思ってもみなかった。去年のいま頃、このO村でふとしたことから暫く忘れていたこの日記のことを思い出させられて、何とも云えない慚愧のあまりにこれを焼いてしまおうかと思ったことはあった。が、そのときそれを焼く前に一度読み返しておこうと思って、それすらためらわれているうちに焼く機会さえ失ってしまった位で、よもや自分がそれを再び取り上げて書き続けるような事になろうとは夢にも思わなかったのである。