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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页

青空文庫

と言って顔を出した。すると浩二は、

「お祖父さん、今お父さんがお母さんに叱られたの」

とばかり、直ぐに立って行って一部始終を囁き囁き披露に及んだ。

「ははあ、成程、然うかい? ふうん。浩二は真正に話が上手だな。よく分る。豪い」

と相好を崩して、お祖父さんは浩二となると全く目も鼻もない。

「八つにもなって話のよく分らない子があったら大変だわね」

「直ぐに豪いと仰有るから増長するんだわ」

と郁子と敏子は兎角歯痒がる。自分達も一番年下で思い切り可愛がられた時代があるのに、それはもう忘れている。

「お祖父さん、僕、今日も皆三重丸でしたよ」

と浩二は姉さん達に頓着なく、お祖父さんの膝に凭れて甘えている。

「豪い豪い。浩二や、お祖父さんが学校へ行っても宜いかい? 浩二が先生に三重丸を貰うところを見たいんだから」

とお祖父さんは家で褒めて足らず、学校まで褒めに行きたいのである。

「いけないよ」

「何故? この間は宜いって言ったじゃないか?」

「でも今日からいけないことが出来たんですよ」

「何うして?」

「今日渡辺章三という子のお父さんが来たものだから、皆笑っちゃったの。お祖父さんならもっと笑われますよ」