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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页

青空文庫

縁談観察

この間訊いて見ましたら、僕は三越へ入るような悪い成績じゃなかったんです」

「元来行くべき方面へ行くんだから、今度は動きますまい?」

「もう動きませんよ。時に叔父さん、その短冊は叔父さんの句ですか?」

と、この時芳夫さんは短冊掛けを見上げながら尋ねた。

「これかね? おやおや、来ん年もまめで豆撒き給えかし。ふうむ、今夜の句だ。源太郎、お前かい?」

「ええ」

「月並みだけれど、大に同感だよ」

とお父さんは褒めてくれた。

「はあ」

と僕は益※(二の字点、1-2-22)恐縮した。

「御丈夫で結構ですな。僕は来年もチョコレートを拾いに来ます」

「又先刻の娘さんと一緒に拾いますか?」

とお父さんが言ったところを見ると、お母さんとの間に絹子さんについてもう何か話があるように推せられた。

縁談観察

新聞に新郎新婦のことが能く出ている。黒枠も拝見するが、斯ういう芽出度い記事にも一応目を通す。何も社会観察である。新郎は必ず大学出の秀才で、新婦は例外なく才色兼備の名媛だ。前者は大抵重役か頭取の息子で、銀行か会社に勤めている。後者は普通地方素封家の息女で、女学校卒業後ピアノか何かのお稽古中である。