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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页
電車と同じことだ。切符を持っていても努力をしなければ乗れない。但し電車の方は二三台待っていると空いたのが来るが、学校の方は此年のあぶれが来年へ廻るから後ほど込む。
三年級まではこの現象を遠方の火事のように考えて多少面白ずくでいたが、この春四年級に進むと同時に、同級生一統急に騒ぎ出した。火の手が近づいた上に先輩が殆んど全滅を遂げた。昨年までは可なり好い成績が続いたから、此年の連中は油断があったのかも知れない。兎に角三十人以上も受けたのに入ったものは唯二人、その二人も一人は補欠と来ている。余りの不成績に、我が子の不勉強は棚へ揚げて、準備教育が何うの斯うのと学校へ苦情を持ち込んだ親さえあった。それに対して校長さんが、
「そんなことは小問題です。教育は入学試験でありません」
と言ったとか言わなかったとかが又問題になりかけた。僕達四年生としては、うっかりしていればこの通りという実物教訓に行き当って、緊褌一番、先輩のように課外準備を苦しがってチョクチョク脱けませんと、担任の先生に誓う外はなかった。
「宜しい。それぐらいの決心なら、この四十人の中二割丈けは保証します」