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おやどりことり
親鳥子鳥
佐々木 邦
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页
子供がサンドウイッチですって。上と下が男で、中が三人揃って女ですから」
と郁子はその席に居合せたと見えて、スミス夫人の冗談を紹介した。
「ふうむ、サンドウイッチは宜かったね。成程、アメリカ婦人の言いそうなことさ。男がパンで女が肉か。確かに彼方の婦人はそれぐらいの意気込みでいる。何といってもアメリカでは男よりも女が幅を利かすからね」
とお父さんはむずかしく解釈して、尚お女の威張る実例を二つ三つ挙げた。この通り別に損のつかない問題なら、頼まれなくてもお冗舌をする。論説にこそ豈弁を好まんやと書くけれど、決して無口の方でない。
「スミスさんは真正に笑わせるのがお上手でございますのよ。『大内さん、けれどもお宅のサンドウイッチは些っと肉が多過ぎやしませんでしたの?』なぞと仰有いましたわ」
とお母さんが話し足すと、
「同感だね。俺も少し肉が厚過ぎたと思っているのさ」
と言って、お父さんは女の子達を見渡した。
「それ丈け上等じゃありませんか?」
「私達は肉よ。兄さんと坊やはパンよ。矢っ張り女は豪いんだわ」
と長女の郁子と次女の敏子はこんな場合決して黙っていない。高女二年と、尋常六年のくせに女性の権利丈けはもう一人前に主張する。