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おやどりことり

親鳥子鳥

佐々木 邦

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年10月~1926(大正15)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 88,828 字 · 181 页

青空文庫

あのまま発達して行けば豪いものになる。まあまあ余り褒めて慢心させないことだね」

とお祖父さんは自分のことを棚に上げて、

「ははあ、郁子も敏子も鳴りを静めたね。独逸式に恐れ入ったと見える」

と諢った。

「恐れ入りもしませんけれど、確かに低能じゃないわね」

と郁子は譲歩した。

「お祖父さん、泥棒を獣と思っていたのも矢っ張り独逸式でしょうかね?」

と敏子は納得しなかった。次女は家中一番の不平家である。兄もあれば姉もある。妹もあれば弟もある。有らゆるものを持っているのが却って苦情の種になる。上も割が好く見え、下も徳のように考えられ、真中の自分丈け何うも損をするように思い込む。

「あれは間違さ」

とお祖父さんは敏子を賺める積りでニコニコした。

「間違でも浩ちゃんなら笑われませんのね。徳だわ」

「でも子供だからさ」

「お祖父さんはあの時お褒めになったわ。道徳的な間違で迚も無考えな子には出来ない間違だって仰有いましたわ」

と敏子が畳みかけた。

「能く覚えているのね。お前に理窟を言われるとお祖父さんは迚も敵わない。筋路が通っているからね。それに物覚えの好いことではお前が一番だよ。